流行の映画にはウトい方なのだけれど、マイケル・ムーアの映画は楽しみにしていて、皮切り後、すぐに見に行かねば!と感じた数少ない映画のひとつ。楽しみという言葉には語弊があるかもしれない。見ずにいられようか、という義務感というほうがぴんと来る。(
『そんな彼なら捨てちゃえば?』も結構、楽しかったけど)
日本では12月に放映開始だそうです。
ぜひぜひ、みなさんにも見ていただきたい映画です。
アメリカ人は、映画の放映中に拍手したり、野次を飛ばしたり、いろんな反応を見せるのが楽しいのだけれど、この映画でも、チェイニー元副大統領やラムズフェルド元国防長官が出てきた時のネガティブな反応や、ブッシュ元大統領が出てきた時の「けっ」という態度、映画がはけたときのいっせいの拍手に、背中を叩いてもらった気がした。こういう反応はここがリベラルなLAだからというのも、もちろんあるだろう。
一生でとても使い切れない富を欲しいままにしてきたウォール街の元CEOたちが、現在のオバマ政権のアドヴァイザーである事実に、背筋が凍る思いがした。カトリーナ災害の時のニュースの光景は、今ちょうど読んでいるマイケル・エリック・ダイソン教授の
『カトリーナが洗い流せなかった貧困のアメリカ』を思い起こした。毎朝、もう長いことバス停の近くの工事現場でストライキをしているおじさんのことも思い出した。
ちょっとネタばれですが、分かりやすい解説:
『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』はキリスト教徒マイケル・ムーアの資本主義批判
やじうまUSAウォッチ by 町山智浩
マイケル・ムーアの場合は、問題の答えや教えをカソリックの牧師に請うた。
ほんの1%の富裕層が残りの95%の市民をひっくるめた以上の富を独占しているような、
人の命より金が大事な資本主義が制する国になんて住みたくない。
しかしその答えは外国への亡命ではなく、マイケル・ムーアの場合は、マイケル・ムーア式の愛国心に立ち返る。そしてそれは、わたしが想像するよりずっと多くの市民の中に秘められた想いなんだろう。
ある意味、それはわたしも同じなのかもしれないと、映画を見終わった後にふと、思う。
気がついたら在米14年目に入った今、ここがわたしの暮らす国。
何気に14年を過ごしてきたわけじゃないし、意思を持って住んでは来たのだけれど、いまだに根無し草感から抜けきれないところもある。でも、ここがこれからも暮らしていく国。
これからの自分がやるべきことが、見えてきたような感触。
真実を伝えていくこと。
これがやっぱりわたしのミッションなんだと、再確認させられた映画。
What is yours?
マイケル・ムーアのオフィシャルサイト
"Capitalism: A Love Story" by Michael Moore