この2/26、フロリダのサンフォードという白人地区に、父親を訪ねていた17歳の黒人青年、トレイヴォン・マーティンが、近所のコンビにキャンディとアイスティを買いに行った帰り道、ジョージ・ジマーマンという近所の番人キャプテンを自称する、暴力遍歴を持つ28歳の男性(訂正:名前はユダヤ系っぽいですが、ミックスのヒスパニック系のようです)に、不審人物とみなされて追跡され、銃殺された。青年は武器を所持していなかった。
しかも自己防衛を主張するジマーマンは、その後、逮捕もされていない。
銃撃の前、警察に通報したジマーマンは、「ものすごく不審な人物がいる。何か悪さを企んでいるようだ。ドラッグか何かだ」と主張したという。通報時に、青年を追跡しないよう、警察に注意されたが、ジマーマンはそのまま追跡を続けた。
追跡されていた時にトレイヴォンと電話をしていたガールフレンドの証言により、彼がその時犯罪行為など行っていなかったことを主張したが、電話口で助けを求めるボーイフレンドの死を実体験してしまった彼女は、トラウマで現在も入院中だという。
通報の記録がネットで公開され、そのニュースは全米に広がり、twitterやfacebook、署名活動などによる異議申し立ての声が影響したのか、昨日3/19(月)、殺人から3週間以上たってやっと、司法省公民権課とFBIは、この事件に関する調査を始めたと発表した。
トレイヴォンの家族は弁護士を通して、息子のガールフレンドの証言を元に、息子は黒人だったからこそ殺されたのだと主張している。
今って1950年代ですか?というような事件が、今もこのアメリカでは起こり続けている。
そういえばブッシュ息子の2度目の大統領選で、ブッシュ弟州知事の元、アフリカ系アメリカ人の投票権、大量剥奪事件が堂々と行われたのも、フロリダ州だった。
ネットで出回っている写真では、トレイヴォンは育ちのよさそうな好青年だ。白人地区に住む父親という構図から、そこそこの中流階級エリアであることが、想像される。
哀しいかな、差別や偏見は人の常だけれど、黒人男性への不審感と嫌悪、そしてその影に潜んだ恐怖心が、今もこの社会に広く、そして深く根付いていることをふと思い起こす。
フロリダ州では最近、銃の所持できるライセンスを持つ者は、州境を超えて銃を運び出すことを許可する法律が可決されたという。身の危険を感じたり、殺人が行われようとしている場合は、自己防衛のため銃の使用を許可しているそうだ。そしてこの国の銃規正法は、全米ライフル協会の手厚い保護により、廃案は極めて難しいまま。
深いため息をつかずにはいられない。
コディ・チェスナットが早速、
ジマーマンへの怒り、トレイヴォンの死を哀しむ歌をアップしている。
ZIMMERMAN 2012
may your soul rest in peace, Trayvon Martin.
ref.
Phone call sheds new light on Florida killing: lawyer