思わず目頭が熱くなる夢のような光景がついに現実に・・・
同じNY出身の大物ラッパーでありながら、お互いに何かにつけてディスし合ってきたライバルラッパーであるJay-ZとNasが、ついに長年のビーフ(対立関係)に終止符を打ち、ヒップホップ・コミュニティーは大いに喜びに沸き、しみじみと感慨の想いにふけっている。
ニュージャージー州のコンチネンタルエアライン・アリーナで行われたJayの"I Declare War"コンサートでJayは、「"I Declare War"(戦線布告)より大事なことがあるんだ。大統領が国連に出席するようなもんさ。レッツゴー、エスコ!」と、ナズの愛称を叫び、会場を驚きと狂喜の渦に陥れた。
「多くのニガーは金儲けをしてもなお、世の中に腹を立てている! 俺たちはお前らと一緒にイーストコーストを救うんだ」、とナズが平和を促す発言をした。
Jayが”Encore"のパフォーマンスをしていると、NasがJayの肩に手を回すというアドリブもあり、Jayが「このビーフってのはくだらないぜ。Peace and Love, New York!」と閉めて、12時に"平和に”ラップ・コンサートが終了したそう。
"平和に”と強調したのも、大型のラップコンサートには、暴動を予期して過剰なほどのセキュリティーや警察の警備が用意されるのが常となっている昨今だが、この夜ばかりは予期せぬ"平和さ"に、警備側も拍子抜けしたのではないだろうか。
ブルックリンとクイーンズの雄同士が、何をきっかけに和解に至ったのかは不明だが、とにかく、思いがけない嬉しいニュースに素直に祝杯を挙げたい。Jayも来月には36歳になるそうだし、ヒップホップも30歳を迎えているのだから、ついに大人になる時が来たということかも。
JayやNasも、ローリングストーンズのような年齢になるまでラップしつ続けるのだろうか、なんていう疑問がふと脳裏をよぎる。その答えは、わたしたちが見届けるしかないようだ。
ヒップホップにビーフは付き物だし、MCバトルでのスキル争いは、ヒップホップに無くてはならないもの。でも人間性まで否定していがみ合うのは、元来のヒップホップが意図するところではないはず。
JayとNasが起こしたこの波が、今後ヒップホップ・コミュニティーに与えるポジティブな影響に期待したい。
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