どんなにお寿司やマンゴが大好物でも、毎日食べたら飽きてしまう。時々食べれるチャンスがあるから、そのありがたみは何倍にも膨らんで、そのおいしさに改めて感動する。
Dillaの作品は、珠玉の名ビートが本当にたくさんあって、名盤と言われるアルバムや、名作と認められている曲の背景に、Dillaのビートあり、ということがよくある。
それでも時々、あまりにも彼のビートを聴きすぎて、感謝の気持ちが麻痺してしまう瞬間も実際あるのだけれど、それでも時々、ふと、その偉大さに、あらためにびっくり仰天する。
車を買って半年、本当に飽きもせず、Jaylibの
"Chanmpion Sound"ばかり、聴いている。もちろん、時にはラジオでいい感じの音楽やニュース番組に耳を傾けることもあるのだが。
でも、例外なく、このアルバムの
"The Heist"と"React"がかかると、車が振動するほどの爆音にヴォリュームを上げてしまう。そのたびに体中の血が沸騰して、アドレナリンが一気に爆発する。
で、ふと、大好きなMadlibのライムに感動しているのと同時に、Dillaの狂気的に格好いいビートに興奮していることを、つい、毎回、再発見、再認識してしまうのだ。(このアルバムは基本的に、Madlibが制作ならDillaライム、DillaライムならMadlib制作になっているそうだ)
漠然と真剣にライターになりたいな、と思い始めた頃、いつも「鶴の恩返し」のストーリーが頭に浮かんだ。音楽から受けたあまりにも巨大な恩恵に、なんとか、自分の身を削ってでも、恩返ししたい、という想いがあったからだ。
Dillaの才能と自分のライターのそれを比較するつもりなど毛頭ないけれど、「音楽が好き」ということが人を突き動かす衝動、モーチベーションについては、彼の気持ちが、とてもよく、分かる。
Dillaの恩恵に授かった幸運なアーティストたち、そしてDillaが喜んで贈ったビートたちはたくさんいるのだけれど、その中でもその名を、存在を、彼のビートによってわたしの脳天にぶちこんでくれたのが、大好きなギルティー・シンプソンのこの2曲だ。
Guilty Simpson - "Clap your hands" from
"Chrome Children"
J Dilla - Jungle Love (Feat MED & Guilty Simpson) from
"The Shinning"
ギルティーの才能を早くから見出し、応援していたDillaは、こんなにすごいビートをギルティーに贈り、そしてギルティーはニューアクト(正確には彼のラップ歴は長いけれど)の素振りなどまったく見せず、貫禄たっぷりにこの怪物ビートを乗りこなす。
このビートを最初からギルティー用に創ったかどうかは分からないけれど、きっとDillaは、体の羽を1枚、1枚、抜き取りながら創ったんだろうな、ということが、この2曲を聴いていると、すごく伝わってくる。
そんな、こんなを、会社帰りのバスの中、スラム・ヴィレッジの名盤"
Fantastic Vol.2"を聴きながら、ぼーっと、ぐるぐる、考えていた。
Thanx Millionz, James Dewitt Yancey, for your mad love.
from okayplayer, 'The Greatest of All Time'