「グラフィティーは公共物破壊である」という理由から、一度出したイベント許可証をNY市長や市議会議員が却下したため、イベント主催者であるデザイナー、
マーク・エコーが市を相手取って訴訟を起こした。
イベントの直前に、裁判所がマーク・エコーの「米国憲法修正第1条」(言論、報道の自由)の権利が侵害されたものであり、NY市の決断を無効とする判決をくだし、晴れてイベントが8月24日に執り行われた。
「純粋なアート表現」イベントを、「常識」を持って肯定し、政治家たちの異議申し立てを却下する痛快な結果となったことに、ヒップホップ・ヘッズたちが両手を挙げて喜び、安堵と興奮を抱えて会場へ駆けつけた。
もともとは、デザイナー、マーク・エコーが発売予定のグラフィティー・ビデオゲームの宣伝のために企画されたグラフィティー・ブロックパーティー。イベント後に知った事実だったが、そんな商業的な思惑はイベントではまったく感じられなかった。
ふたを開けてみれば、伝説的なグラフィティー・アーティストが描き出すアートを一目見ようと、数千人のあらゆるヒップホップ・ジェネレーションが集まり、突き抜けた青空の下で、実に平和でポジティブなエネルギーで溢れるパーティーとなった。
イベントのフライヤーに書かれた「芸術を腐敗とみなされたすべてのグラフ・ライターに捧げるイベント」という文句が、なんともクールだ。
地下鉄のレプリカが、チェルシーの11thアベニューと12ndアベニューの間の22丁目いっぱいに並べられ、アーティストたちが思い思いのメッセージで地下鉄に彩りを加えた。
70年代の映画
「ビートストリート」で見て、「こんな地下鉄に乗ってみたかった!」という世界が、まさに目の前で再現された。まさに、圧巻、の一言だ。
Dj 3dやDj Avee、クール・ハークにプリンス・ポールなどのDjがスピンするホットなビートに、立ち並ぶ地下鉄を彩るグラフィティ、人の輪に囲まて次々と自分のブレイクダンスを披露するダンサーたちやMCたちに、ヒップホップの基本四要素を十二分に満喫できるイベントとなった。
20名以上のグラフ・アーティストの作品は、マーク・エコーの所有物となり、彼のギャラリーか美術館に収められる予定とのこと。
出演した伝説的グラフィティー・アーシティスト一覧:
DASH, WEST, KET, COPE2, TKID, CES, SONIC, IZ THE WIZ, MIN, DURO, TATS CRU, WANE, WEN, DERO, SUB, CYCLE, SMITH, PINL, DOC, KEL1ST, MARE139, CRASH, DAZE, GHOST
DJブースの前に集まって音楽を楽しむ人たち。NY市が心配していた「公共物破壊」や「犯罪」の気配など一体どこに?
カラフルなスプレーペイント: 「お店から拝借(万引き)する」のが、当時の伝統的(笑)な入手法だったとか。
Dj 3d
スケッチを元に創作される精密でいて自由なアート
グラフティ全盛時は「身元」を隠すためにこんな風に変装(?)しているアーティストも
「警告:スプレーペイント、マーカー、または他のグラフィティ関連の道具類を所持する者は全員、罰金、逮捕の対象となる」 って、なんか落語的な落ち。(苦笑)
"The Return to 145th..." by West
Breakin' in the Crowd
クール・ハーク
グランドマスター・キャズ
NY市警の権威批判 Against Police State
"Birth of Venus" by Lady Pink:
ボッティチェリ(イタリアのルネサンス期の画家)の絵画を元に描かれた女神の髪の毛につかまれているのは、上からピーター・バローン・ジュニアNY市議会議員(グラフィティ・イベントに反対)、ブッシュ、ブルーンバークNY市長(同じくイベントに反対)、ルーディー・ジュリアーニ元NY市長(任期中なら間違いなく反対者)
:)
All Photos by Keiko Tsukada