俗に言う「ブラック・ミュージック」にここまで惹かれる理由は、いったい、何なんだろう?と、ふと考える。
もちろんその魅力は、そのリズムであり、ビートであり、メッセージであることには間違いないのだ。
だが、本当のところ、人の精神の奥深くに訴える、心の痛み、苦悩の叫び、生きたいという激しい生命力にあるのではないかという結論に、今さらのようにたどり着いている今日この頃。
それはメリーJ.ブライジの"Real Love"であったり、ドニー・ハザウェイの "A Song For You"であり、 ジョン・コルトレーンの"Alabama"であったりする。
大学時代のアメリカ黒人文学の教授の、「歴史上、皮肉にも、苦境の中からこそ素晴らしいアートが生まれてきている」という言葉に、深く考えさせられたことがある。
人の心に共鳴する音楽は数あれど、わたしはこの音楽から、随分と長い間、離れられないでいる。それがおそらく、わたしが今もなおこの国に暮らしていきたいと願う、大きな理由のひとつなのかもしれない。