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ひょんなことからこのヴィデオに辿り着いた。 レフト・アイが他界した理由が、休暇中のホンデュラス島で起こった交通事故が原因だったことは、皆の知るところだろう。でも、実は世界に知られたくないことを彼女が知ってしまったから、その情報を知られたくないために殺された、という話も聞いたことがある。このヴィデオを見て、その可能性を思った。 陰謀説論者と言われればそれまでだけれど、この世の中には一般人に知られたくない事実があり、それを知らせたくない人たちがいるのは確か。そしてその背景には大抵、お金が絡んでいる。 たまたま見たこのヴィデオ、このドクター・セイビー(ホンデュラス出身)という人が作る自然植物薬で、エイズでも何でも、どんな病気でも治せるというもの。まぁ、よくあるよね、こういう話。 で、彼がたまたまわたしが住んでいるところの隣町に住んでいることで一気に注意を引かれ、そしたらいきなりレフト・アイの登場で、ぐっと惹き込まれた。 ヘヴィードリンカー、ベヴィースモーカーだったというレフト・アイ。 レフト・アイ「アルコールとタバコをやめて平和でいられるにはどうしたらいいの?」 ドクター・セイビー「断食だ。イエスがしたようにしなさい」 レフト・アイ「イエスは何をしたの?」 ドクター・セイビー「イエスは40日間、昼も夜も断食をしたのだ」 レフト・アイがMTVニュースに伝えたコメント。 「わたしは自分の体を30年間汚染してきたの。40日の断食なんてわたしにとっちゃ、ちっとも長くないわ。40日でそれを乗り越えた。イエスが断食した日数よ。時に旅をしている気がするの。どこに向かっているかはよく分からないんだけど」 その様子を語るドクター・セイビー。 「断食を終えた彼女がわたしのところにやって来て言ったのだ。 「夜中の2時に扉が開く音がしたの。今朝わたしは断食を終えたのよ」と彼女。 「何を見たんだい?」と訊くと、「神を見たわ」と。 彼女は言うんだ。「あなたを有名にするわ!」ってね。 「どうやって?」とわたし。 「わたしがあなたのことを話すのよ。みんなあなたが癌もエイズも治すって知ってる?」 レフト・アイが続く。 「この世には病気で苦しんでいる人がたくさんいて、ハッピーじゃない。 答えを求めているけど、どこに頼っていいか分からないでいる。 わたしは1987年からエイズを治してきた人を知ってるわ。この人はわたしにたくさんのことを教えてくれたの。だからわたしは自分の知識を世界と共有する必要があるのよ」 さて、この情報を知られたくない人は、どこの誰でしょうね。 ドクター・セイビーのウェブサイト。しかも思っていたより結構安い。返品なし。代替薬品、心身一体的健康方法には元々信じているし、健康フリークだし、試してみようかしら。 http://www.drsebiscellfood.com/ ![]() Plant Some Shyyyyt! 今わたしのガーデンは、さつま芋の葉っぱとツルがぼーぼーです! ついでに衝撃を受けた同系統のヴィデオも。長野市レプレゼン! ■
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by kokosoul
| 2015-10-03 14:18
| people
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![]() 日本人のわたしたちにとって、笑えないブラックジョークではあるのだけれど、 どうせ人のテクをディスって自分の技ありをブラグ(自慢)するのなら、 スキルを持ってやってくれるのが、断然カッコいい。 こんな風に極力ナードで知的に。 当たり前だけれども、世界情勢や歴史を分かってないと書けない内容。 ドゥームと「ナズも絶賛する18歳の新鋭ラッパー」というビショップ・ネルーの『NehruvianDoom』を聴いていたら、聞き慣れた単語が耳に入ったので、ヴァース2のドゥームのリリックだけ、訳してみました。をとなチャンレジ★ いつかドゥームのアルバムの対訳ができる日を夢見て♥ ディザストゥラス(悲惨な出来事)byネルーヴィアンドゥーム [Verse 2: MF DOOM] イエー、ブリロ・パッド(スチールウールの食器洗いパッド)の髭と呼ばれてる男 このショウでヤツのフロウはむちゃくちゃ変 ここから生放送でお届けします、ってどこだよ? ローマの屋根の垂木が崩れた後だ、泣き笑い 水俣病の(水銀)水より破壊的な俺のスタイル 俺に挑戦するヤツらが2杯目を喰らう前にな 惨事、(爆発事故を起こしたスペースシャトルの)チャレンジャー号みたいに爆発するぜ お前ら宇宙研修生らには TVで見た残虐行為よりもっと暴力的な脅迫 俺たち(ドームとビショップ・ネルー)福島第一原発みたいに熱っしっぱなしだぜ 温度を上げろ、ヴィランと皇帝だ お前らドゥームズデイ・プレッパーズ(各種サヴァイバーを追ったナショナルジオグラフィックチャンネル放送のリアリティ番組)みたいに準備できてねーだろ 黒死病みたいに広がるまで俺たちレップしてやるぜ ワックな野郎どもを皆殺しにするまでマイクをズタボロさ、クラックのような息 羊飼いみたいにキープ、あり余る光を放つ豹みたいに飛び跳ねる 強打を越え、ヘアライン(髪の生え際)を放牧 俺のヘアラインはマレーシアエアライン(航空)の衝突より見つけづらい じきに暗鬱な未来(ナノテクノロジーの進歩により人間の管理を超え自己増殖を図るナノロボットがねずみ算式に増殖し、地球の覇者となるという状態を表す表現)のナノテクノロジーよりダークなのがやってくるさ 奇跡的だぜ、ディザストゥラスの省略形はない 以上、この後の曲は(ボーナストラックを除いて)もうなし translated by Keiko Tsukada ![]() ■
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by kokosoul
| 2015-09-23 13:20
| DOOM
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NYのヨンカーズで生まれ育ち、The LOX(ベーグル食べたくなる名前…)での活躍でも知られるジェイダキスとスタイルズ・Pが、共同投資して低所得者地域にジュースバー“Juices for Life”(生きるためにジュースを飲もう!)をオープンして話題になっているらしく、気になる、気になる。 ヨンカーズと言えば、マンハッタンのハーレムよりさらに北上した、車がないとなかなか行けない郊外地域。チェーン店らしく、何店舗が実際彼らの投資によるものかははっきり分かりませんが、おそらくヨンカーズのここかな。ブロンクスにもあるみたい。 最近、「フード・デザート」という言葉をよく耳にします。健康な食品、(特にオーガニックの)新鮮な野菜や果物などにアクセスできない、近所に売っていない、添加物満載で健康に害の多い加工食品に囲まれている状態を、「食材の砂漠」と表現しているわけです。これに対して地元で行動を起こしている人は、全米でもここ数年でかなり増えています。 実際に、農務省の推測によると、アメリカでは2305万人に近い人達が、この「フード・デザート(食材の砂漠)」で暮らしていて、その中の1305万人は低所得者であり、その多くは都市部に住んでいると言われているそうです。 「貧困層が住む地域では、ほとんどの場合、資金は酒屋とか必要のない物に投資される」 from Jadakiss and Styles P To Open Chain of Healthy Juice Bars in Low-Income Communities わたし的には、ジェイダキスといえばこの曲。まさに、ジュースバーをいつ作ってもおかしくないメンタリティが感じ取れる曲でもあります。 “Why did Bush knock down the towers? Health is Wealth. ■
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by kokosoul
| 2015-09-09 14:45
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![]() 【video】"We are put on Earth to love." - Kendrick 「すべてはテストなんだ。 彼の音楽ももちろん大好きなんだけど、だからケンドリックが大好き、とあらためて思えるビデオ。もう、何度でも見ちゃう。人として好きになると、音楽がより立体的に、豊かに深く広がって、心に響いてくる。 this is the very reason why I love Kendrick. live, laugh, love :) giv thx. ■
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by kokosoul
| 2015-09-04 15:39
| Kendrick Lamar
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日本に最も縁の深いジャズ・ミュージシャン、トランペット奏者のひとりとして知られる、ザ・レジェンド、ハーブ・アルパートさんの9月4日からのブルーノート東京公演に先駆けて、彼のマリブの自宅でインタビューさせていただきました。 セルジオ・メンデス&ブラジル'66でリード・ヴォーカルを務めたことでも知られる奥さんのラニ・ホールさんも一緒の、激レア来日公演となります。写真は長谷川ゆりさん撮影です。 〜vol.1〜 公演直前インタビュー、ハーブ・アルパート 〜vol.2〜 公演直前インタビュー、ハーブ・アルパート 〜vol.3〜 公演直前インタビュー、ハーブ・アルパート ハーブ・アルパートさんといっても、名前だけではぴんと来ない方も多いかもしれませんが、この曲を聴いたら知らない方はまずいないのでは。大人のみなみなさま、散々お世話になりましたよね! そしてラニさんを一躍スターダムに送り込んだのが、この曲。そんな彼らと契約したのも、A&Mレコーズ創設者のひとり、ハーブさんなのです。 ちなみに、Herbと書くと普通、英語では「アーブ」と発音することが多いのですが、彼の場合はそのまま「ハーブ」と発音するところが、ちょっと意外で印象的。 そして、記事には入り切らなかったのですが、ヒップホップ・ヘッズにとっては欠かせない、あの鉄板ソングのサンプルねたのパフォーマーとしても有名なハーブさんなのです。 からの。 原曲も本当にかっこいい! 80年代(リリースは1979年)の空気を感じさせつつ、今もなお色褪せないフレッシュさもまた、名曲の所以でしょう。奥さんのラニ・ホールさんとの幸せそう〜なダンスも本当に素敵。タイトルからも、カリフォルニアの太陽が登るイメージが沸いて来たり、心地よい海の風を感じたり。 で、やっぱり気になるわけですよ。ヒップホップ好きとしては。"Hypnotize"についてハーブさんはどう思っているのか。 この原曲"Rise"は同タイトルのアルバムの中でも、100万枚売り上げてビルボードチャートで1位を獲得しているヒット曲。そして1997年リリースの『Life After Death』に収められたビギーの"Hypnotize"もまた、ビルボードチャートで1位を獲得しています。 でもそれは、ビルボードチャートで1位になったヒット曲をサンプリングしたから? プロデューサー陣の制作手腕が大きいのは言わずもがな。ヒップホップ好きなら、そんな単純なものじゃないし、その答えが否、であることはご存知でしょう。 実際、Wikipediaによると、この曲を作曲したハーブさんの甥のランディさん曰く、「長年の間、アイス・キューブやイージー・E、ヴァニラ・アイス、その他にも4、5人ほどのアーティストに、この"Rise"をネタに使いたいとアプローチされたけれど、P・ディディ、D-ドット、ロン・ローレンスが制作したビギーのラフ・ヴァージョンを聴くまでは、イエスと答えたことはなかった。ディディからカセットが送られてきて、それを大音量で聴いた瞬間大好きになったばかりか、本能的にこのレコードがまたナンバーワンになるかも、と思った」と語っています。 で、で、気になる質問をですね、聞いてみたわけです。「ヒップホップのサンプリング・アートについて、どうお考えですか? あなたの”Rize”もノートリアス・B.I.G.の"Hypnotize"でサンプリングされて、大ヒットしましたよね」と。 「想像力の欠如だと思うよ。近道だし、自分のやり方を考えられないだけだと思う。誰かのやり方に乗っかってさ。怠惰なアートフォームだと思うよ、本音を言えばね。大抵は、音楽の背景のない人間が(ドラムマシーンの)ボタンをいくつか押せばリズムができあがる。わたしにとっては怠惰なことだ」 と、ハーブさんのお話をここだけ切り取って聞いた場合、特にヒップホップ・ヘッズにとっては、物申したい気持ちが込み上げてくるというものでしょう。10年以上、数えきれない程のニューヨークのヒップホップ・プロデューサーにインタビューさせていただいてきたわたしとしても、特別なネタ元を探すこともヒップホップ・プロデューサーの大事な器量とセンスながら、それをどう調理するか、消化して昇華させるかで、どんだけの「個性」を生み出せるかってことを、十二分に理解しているつもりです。 が、当然ながら、わたしはハーブさんとサンプリングについて討論しに行ったわけではなく、ハーブさんの音楽の魅力と歴史についてお話を聞きに行ったわけですから、そんな愚問はもちろんいたしませんでした。(ぐっとこらえる自分も1秒くらいいたけど) でも、ハーブさんからそのコメントが出た背景には、彼が8才の時から72年間(!)トランペットで生演奏し続けてきた生粋のジャズミュージシャン、楽器演奏者であるが故に、わたしがサンプリングの質問をする前に、「人の音楽をコピーしたくないんだ。オリジナルになりたい。人のリズムを取って自分の作品に乗っけて使うようなやり方は、創造性の欠如だね」と語っていたのです。その流れで、上記の質問をつい、投げかけてみたわけです。 実際わたしは今でも、楽器の生演奏や、ライブパフォーマンスに勝るものはない、と日々実感しています。(ライブ熱は時に人をきてぃがいにすることよ☆) だからこそ、I got nothin' but respect for him、彼の音楽への情熱と愛情に、ただただリスペクトしかないわけなのです。 そんなハーブさんの熱い想いと愛情を、ジャズの歴史を、ぜひぜひこのインタビューで読んでいただけたら幸いです。もし可能なら、ぜひぜひブルーノート東京で行われるハーブさんのライブにも! こんな貴重なチャンスはもうないかも!? 米音楽界の重鎮トランぺッター/プロデューサー ブラジル'66出身のシンガーとともに約48年ぶりの来日公演 ハーブ・アルパート(tp) &ラニ・ホール(vo) 2015 9.4 fri. - 9.7 mon. ![]() OMG... ![]() ![]() 3 photos by Keiko Tsukada thanx millionz to Mr. Herb Alpert with mad respect, for being you. love, thanks and peace to the world. ■
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by kokosoul
| 2015-08-31 08:41
| My Gigs
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![]() ずーーーっと楽しみにしていた、伝説的グループN.W.A.(にが・ウィズ・アティテュード=要約:態度でかい/ワルい黒人だけど、文句あっか!?)こと、イージー・E、ドクター・ドレ、アイス・キューブ、MCレン、DJイェラの伝記映画『Straight Outta Compton』を、公開ウィークエンドの土曜日に、地元LAの映画館で観て来ました。「映画をサポートしたいなら公開日に観に行こう!」というスパイク・リーさんの言葉を肝に命じながら。 地元だけあって(といってもコンプトンではありませんが)、そして大手ユニヴァーサルがディストリビュートするハリウッド映画だけあって、ハリウッドにほど近いLAの映画館では、朝から晩まで1時間ごとに開始する密な上映ぶり。2800万ドルの予算をかけた本作は、上映最初の週末(8月14日・15日)に見事に2倍の5600万ドルという絶好調な興行成績を記録したそうです。 ![]() きっと日本でも放映されることを切に願いつつ、ここからは「ネタばれ注意!」です。が、とりあえず、わたしの「夏休みの宿題:映画感想文」ということで記録しておきたいと思います。 反体制、反社会のアティテュードが、全米、世界中の多くの若者層に支持され、「ギャングスタ・ラップ」という社会現象を巻き起こしたN.W.A.のデビュー作『Straight Outta Compton』の成功から、N.W.A.の終焉まで綴った、2時間27分に渡るこの映画。 見終わった最初の感想はひと言、圧倒的な「大作」。 笑いあり、涙あり、怒りあり、興奮あり、悲哀あり、兄弟愛あり。 人生の皮肉。可能性。夢。不公平。人種差別。希望。成功。敗退。幸福の追求。 ロドニー・キング青年への警察の非情な暴力行為、そしてLA暴動。 終演後のキャスト情報までむさぼるように見入った、まさに圧巻の2時間半でした。 メディアを通して「暴力」や「社会悪」のシンボルのように扱われて来た彼らの、ヒップホップというフィルターを通した現実や自己表現が、皮肉にも、いや、おそらく満を持して、再びメディアを通して等身大の「人」としての姿が初めて映し出された事実には、安堵と喜び、そして大きな共感を感じました。 彼らも、彼らを批判してきた側の人たちと何ら変わりない人間なのだという、ごく当たり前の、しかし一部のアメリカ社会からは無視されがちだった事実が、非常にダイナミックかつドラマティックに描かれていました。 そしてアイス・キューブとドクター・ドレも制作に関与しているだけあって、当事者側が伝える事実が非常に詳細に表現されていたことや、ヒップホップ、西海岸、コンプトンで生まれ育った若者の日常、エンタメ界を支配するユダヤ人社会の構造など、歴史的、教育的要素満載の映画としても非常に貴重な内容になっていたことも、「大作」となった重要な要因だと思います。 ![]() N.W.A.が結成された1986年から始まるこの映画は、このブログではとても書ききれない数々のドラマを経て、ドクター・ドレが裸一貫になってまでデス・ロウ・レコーズ/シュグ・ナイトとの悪夢の関係を断ち切り、アフターマス・レコーズを始める出発点で幕を閉じます。 中でも個人的に印象的だったのは、ドレー博士の天才的な制作能力と先見の明も去ることながら、アイス・キューブの飛び抜けた知性です。お恥ずかしながら、世のヒップホップ・ファンのみなさんに比べて割と遅めにヒップホップ愛に目覚めたわたしは、NYヒップホップに偏りすぎていたこともあり、2008年に実際にNYからLAに引っ越すまでは、それほど深くウエッサイ・ヒップホップに共感を持てずにいました。 ![]() が、先日LAのステープルズ・センターで行われたケンドリック・ラマー、スヌープ、アイス・キューブとMCレン、DJイェラのぷちN.W.A.再結成ライブで圧倒的に感動したのは、アイス・キューブの同胞への愛情と、成功してもなおフッドに起こっている現実(#BlackLivesMatter)に誰よりも想いを馳せていた彼の姿でした。そこから遅すぎる春、ならぬ、遅すぎるアイス・キューブ再発見願望が、わたしの中でふつふつと沸き上がっていったのです。 N.W.A.結成当時、まだ高校生だったキューブは、日々ギャングに脅かされるコンプトンの日常の中でせっせとライムを書き貯め、自己表現のはけ口を常に探して求めていました。 運命が引き寄せた、出会うべくして出会ったN.W.A.の5人。実は最初はラッパーになる気なんてさらさらなかったイージー・Eは、ドクター・ドレがはっぱをかけたことで、リアリティ・ラッパー、語り部としての才能を開花します。イニシアチブを取る才能に長けていたイージーが始めたルースレス(非情な、冷酷な、という意味)・レコーズから、最初は「イージー・E & N.W.A.」という立ち位置でシングルレコードをリリースし、人気はあっという間に広がって行きます。 そこでユダヤ人音楽マネージャーのジェリー・ヘラー(思えばイージーにとって父親的存在にもなったと思われる、間違いなくN.W.A.を世に送り出した重要人物)は、いち早くイージーの才能と「リアリティ・ラップ」の市場開発の可能性に目をつけ、N.W.A.の中ではイージー優位(実は業界の習慣的にジェリー優位だった)のレコード契約の話を持ちかけます。 そこからあっという間にデビュー作『Straight Outta Compton』が生まれ、その魅力と刺激に飛びつく全米の若者層と、暴力的リリックに特化して(なぜその現実が生まれたかという社会的背景には想像も及ばない)反対運動を生み出す保守派層のうねりの中で、良くも悪くも社会現象となっていくのです。(このアルバムが、コンプトンの西隣に位置し、今日では日系人の人口が多いトーランスという街でレコーディングされたことは、わたしにとってとても新鮮な発見でした) 目先の大金に心を踊らせ、また生活苦による必要に迫られ、ろくに読まずに(自分たちに非常に不利な)契約書にサインしたメンバーたちに比べ、冷静に弁護士との確認なく署名することを最後まで躊躇していたのが、『Straight Outta Compton』でも人一倍リリックで貢献していたアイス・キューブでした。 『Straight Outta Compton』リリースによりその名を上げ始めたといっても過言ではないプライオリティ・レコーズの経営者は、爆発的な売上げに反して収益をメンバーたちに十分に還元しないことに不満に唱えるキューブを、「次作ではちゃんとするから♡」と、言葉巧みに説得します。 成功による生活の向上は享受しながらも、やはり貢献度と成功に見合わないと感じる待遇に、納得がいかないキューブ。自分たちのアートで巨万の富を築き上げるプライオリティ・レコーズの現状にしびれを切らしたキューブは、再び経営者のオフィスを訪ねます。しかし、またもや言葉巧みにキューブを説き伏せようとする、らちのあかない経営者。ぶち切れたキューブは、社長室に飾られるプラチナムレコードの額縁やら家具やらを、持参した野球バットで端から勢い良く叩き壊し、彼なりの正義を掲げて、「ディスリスペクト」に対する制裁を加えます。 N.W.A.のメンバーがまだほぼ無名だった頃、『Straight Outta Compton』のレコーディング中に、「ギャングっぽいから」という理由で、警察官にいつもの非情で不公平な嫌がらせ兼暴力行為を受けます。その体験から、キューブは悪名高くも後にグループのアンセム的存在となる「F*** Tha Police」のリリックを書き上げたシーンも、彼らの「リアリティ」を実に象徴的に現していました。 マルコム・Xを救った人物としても知られるイライジャ・ムハンマド師が創設した、アフリカ系アメリカ人のイスラム運動組織、ネーション・オブ・イスラム(NOI)の思想は、多くのラッパーたちにも影響を与えてきたことでも知られていますが、アイス・キューブもそのひとりでした。 どの曲だったか失念しましたが(おそらく"No Vaseline"?)、ユダヤ人であるN.W.A.のマネージャーのジェリーが、ある曲の中にアンチ・ユダヤ人的(anti-Semitic)発言があると激怒するシーンがあります。 黒人の経済的自立、民族的優越を説いたNOIは、その一見過激ととらえられる思想から、(事実上、政界、経済界、メディア、エンタメ界等を支配してきた)ユダヤ人に反する思想を持つとして、度々バッシングの対象とされてきました。 当時そのNOIの思想に傾倒していたとされるキューブが、自宅にインタビューに訪れた、おそらくユダヤ人と思われるインタビュアーに対する非常に知性的な返答は、わたしとって特に印象的なシーンのひとつでした。 「あなたは反ユダヤ人主義なんですね?」という断言的な質問に対し、「自分はあなたと同じように「リアリティ」を伝えるジャーナリストだ。自分はアンチ・ユダヤ人主義ではなく、アンチ・ジェリー・ヘラー(N.W.A.を摂取したとされるマネージャー)なのだ」といった調子で切り返すキューブの一撃は、彼のリリックに勝るとも劣らない名言で、見ているこちらの胸もすかっとする思いでした。 ![]() 印象深いストーリーが次々と展開する中、当時まだ謎や差別の多かったエイズの病魔に犯されていくイージー・Eの姿は、とても悲痛で、人生の皮肉を感じずにはいられませんでした。破竹の勢いで成功したN.W.A.は、またそれに負けないスピードで、グループの崩壊へと向かいます。イージー、ジェリー本意の契約内容に愛想を尽かしたキューブやドレが、イージーとの仲違いを経て、グループを離れ、ソロとして更なる成功を収めていきます。 契約金を豪遊して使い果たしてしまったことも事実だったと思いますが、結局は信頼し切っていたマネージャーのジェリーに利用され、摂取されていたのだと気付く頃には、すっかり困窮する生活に戻ってしまったイージー。再び輝ける成功を夢見て、メンバーとの再結成を模索し、キューブに、ドレーに歩み寄ります。成功が生んだ亀裂ではありましたが、同郷コンプトンで5人を結んだ強い兄弟愛は、ほどなくしてメンバーを再結成の決意へと導きます。 そんなサードアルバム制作への期待と、古き良き仲間の再会を心から楽しもうとしていたその矢先、スタジオでイージーが気を失い、倒れてしまいます。体調不良に気付きながらも、無理を押して再結成を夢見ていたイージーは、既にエイズの末期症状だったのです。(病気のイージーがほとんど参加できなかった、『Bone』と命名されたその最後の作品の存在/行方が、事実に基づいたストーリーなのかは気になるところです) わたしはコンプトンで生まれ育っていないし、想像こそできても、彼らが体験してきた人生に本当の意味で「共感」することはできないのかもしれません。でも、メンバー本人たちの監修で実現したこの大作映画『Straight Outta Compton』は、イージー・E、ドクター・ドレ、アイス・キューブ、MCレン、DJイェラが、警察やアメリカ社会に「社会悪」、「暴力」という烙印を押されてきた表層的イメージを紐解き、彼らだって笑いもすれば泣きもする、わたしたちと同じように幸福を追求し、平和な暮らしを求める人間なのだということを、気付かせてくれた気がします。そして、その平等なチャンスは、すべてのアメリカ市民に与えられているわけではないという現実にも。 ハリウッドマネーよろしくのこの映画も、資本主義サイクルの一環であることは、紛れもない事実でしょう。でもN.W.A.にそんなネガティブな烙印を押してきたメディアが、何の因果か皮肉か、その烙印を紐解くポジティブな役目、責任を、N.W.A.結成から29年たった今果たしてくれたのも、また事実。 N.W.A.の真骨髄とも言えるトレイラーの言葉から。 キューブ「俺たちは音楽にフラストレーションと怒りのすべてを注ぎ込んだ。俺たちの音楽は、俺たちの武器のようなものだった」 そんな彼らのむき出しの「リアリティ」「真実」を、世に伝えた5人のジャーナリストたちの勇気と才能に、感謝と愛を送りたい。 そしてその「リアリティ」から29年たってもなお、いまだに警察官の銃撃や暴力行為で次々にアメリカ黒人が命を落としている現状の改善に、この映画が少しでも貢献してくれることを祈って。 Ima straigh outta Nagano. Ima straigh outta Brooklyn. Ima straigh outta City of Angeles. ...Heiwa - for Peace... ![]() 映画上映1週間前に青空に浮かぶCOMPTONの文字 追記: ビギーの伝記映画 『ノトーリアス・B.I.G.(Notorious)』を、引っ越してきたばかりの2009年にLAで見たときは、どでかい映画館に5、6組しかいないという閑古鳥状態で見た寂しさを思い出します。今回、地元LAで見た『Straight Outta Compton』は、ブルックリンらぶ for life!だったわたしが、いつの間にか、すっかりウエッサイへの地元愛を育んでいたことを再確認するきっかけにもなったのでした。 *all photos taken/edited by Keiko Tsukada, except for the top & the last images. give thanx! ■
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by kokosoul
| 2015-08-17 15:58
| hip-hop
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![]() スタンダップ・コメディでデビューしたり、業界にラップ・バトルを挑んでみたりと、最近何かとノイズを起こしている、ヤっさんこと、ヤシーン・ベイのサプライズリリース。 "Basquiat Ghostwriter" from Yasiin Bey Surprise-Releases Manic New Song, 'Basquiat Ghostwriter' from Yasiin Bey Responds to Lupe Fiasco 「俺は別に誰とも競い合うつもりもてない。血だらけのスポーツじゃあるまいし。俺はそういう人間じゃない。 ■
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by kokosoul
| 2015-08-15 04:12
| Yasiin Bey/Mos Def
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bmrのブログに、今年LAで行われたディアンジェロのライブで撮影したビデオ3本あっぷしました。祝♡来日公演! エンジョイ濃厚祭り! D'Angelo LA live 2015 - "left & right" D'Angelo LA live 2015 - feel da FUNK!!!! D'Angelo LA live 2015 - "untitled: how does it feel..." ■
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by kokosoul
| 2015-08-10 14:19
| ミュージック
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![]() 30分以上眺めて悩みまくった楽しいリリース日ww タイラー・ザ・クリエイターのソロ3作目となる『チェリー・ボム』日本盤で、リリック対訳させていただきました。しかも、ライナーノーツはFLJマガジンの大野さん! 縁あって、2作目の”Wolf”、”The OF Tape Vol. 2”のリリックも何曲か担当させていただいたのですが、この3作目では本当に彼の目覚ましい成長が、非常に完成度の高い形で表現されています。 誰にどんなに否定されても自分のやりたいことを貫いてきたことで手に入れた成功と富。経済的に恵まれていなかった頃のいろんな問題が解決、改善されていくにつれて、彼に心の余裕が出てきたのでしょう。悲しい題材の曲はもう作れない、というようなことをTwitterて語っていたタイラー。 そんな環境を手に入れたことで、より自由な創造性を表現しやすくなってきているんだろうな、ということを、このアルバムから実感します。彼のソロ作中で間違いなくベスト作だと確信しているし、本当に楽しみながら訳させていただいた作品たちです。 彼のマネージャーであるクランシーが、少し前にコーチェラのライブで、大勢の観客の前でステージに立つタイラーの写真と共に、こんなぐっとくるコメントを残しています。 「4年前にタイラーに会った頃、彼はお婆ちゃんちの床に寝て、ウェインディーズに行くための小銭をかき集めてた。今週、彼のアルバムがトップ5入りする3枚目の作品になろうとしている。すべては妥協せずに彼のやり方で成し遂げてきた。そしてリリース初日にTidalより多くの人たちが入会したメディア会社のアプリを打ち上げた。自慢とかじゃなくて、ビジネスが今転機にあることを認めているんだ。君がトップから来た人だろうと、根底から作り上げて来た人だろうと関係なく、現在のところ、成功のメトリックスの見直しを迫られているか、誰かの成功の恩義を受けているか、どちらかだ。タコが撮ったこの写真は、僕が伝えるどんな言葉より雄弁に語っている。すべての浮き沈みに感謝しているよ。そして常に挑戦するチャンスにもね。結果がどうであれ、おめでとう、タイラー」 ![]() いつも対訳の際に質問があれば聞いているアメリカ人のヒップホップヘッズの友達に、「君はタイラー好きかもしらんけど、彼は子供じみすぎてる、カースワーズ多過ぎ、俺は耐えられん!」と愚痴っていましたw 年もかけ離れているのに、わたしがこんなにタイラーが大好きな理由って何だろう?と考えた時に、やっぱり誰に反対されても動じず、自分のやりたいことを、自分のやり方で実現してきた彼の信念が、わたしにとっては一番魅力的で、インスピレーションになっているのかなーと思います。 どれだけの人が、自分の心の声に素直に耳を傾けて、それを忠実に実行しているでしょう? アルバムの中でもタイラーは、盛んにリスナーに、「限界なんてない、自分の翼を見つけて飛んで行くんだ、世界は君のものだ」、と語りかけています。 そんなアルバムの中でも、輸入盤、日本盤ともに、CDバージョンにのみ収録されているボーナストラックが、"Yellow"という曲で、個人的に一番好きな曲のひとつ。わたしが世界で一番好きな色が「黄色」であることもあるのだけれど、タイラーがもう、本当に自由。そして何より、心の平和に満ち溢れてる。聴いてて本当に嬉しくなっちゃう。 4年前、オッドフューチャーがホットになり始めた頃、フェアファックスのストリートで初めて出会ったタイラーは、スケボーで走り回ったり、猫ちゃんを抱っこしたり、友達とふざけ合ったり、口に入れたピザを吐き出したりw、本当に楽しそうだった。そしてそのずっと前から抱いていた夢を、確実に実現しているのだ。 I am soooo Happy for you Tyler. Thanks, man. タイラー・ザ・クリエイター『チェリー・ボム』 タワーレコーズ amazon ![]() Kali Uchisが本当にいい! タイラーの世界観。 Qちゃんが出てくる曲は、マジでかっこいいのばっかり。爆音ソング。 ![]() ■
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by kokosoul
| 2015-06-03 14:36
| My Gigs
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![]() 遅ればせながら、5/20にリリースになったケンドリック・ラマーのメジャー2作目となる、『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』日本盤にて、リリック対訳を担当させていただきました。解説は高橋芳郎さん! 1作目の『グッド・キッド、マッド・シティー』のリリック対訳もさせていただいたのですが、毎回彼のストーリーテリングの濃密さと、アルバムとしての完成度の高さには、本当に感動で、インスピレーションを受けまくりです。しかも、彼がビッグなアーティストになればなるほど、彼も普通の人間なんだということを、彼の音楽から思い知るのです。 それを一番思い知ったのが、"u"という曲。"I love myself"という自己愛を歌った"i"は、ポジティブでソウルフルなシングルとして先行リリースされました。そこへきて、自分を愛することの複雑さ、どん底の鬱状態、酒に頼らずにいられない弱さ、妹の事件、友人を失った悲しみなど、自分の弱さを徹底的にさらけ出して、これでもか!っていうくらい自分で自分を罵倒するのが、この"u"なんです。(マジでケンドリック、大丈夫かなぁ…) しかも、聴けば"i"も、自己愛を常に自分に思い出させるため(リマインダー)、自分を励ます意味を込めて書いた曲でもあるらしく。 そしてこのアルバムに収録された"i"はライブバージョンを採用していて、その後半のアカペラ部分の必殺技には、ノックアウトされずにはいられませんでした。ある意味、彼のテーマソングともなった"Hiii Power"に匹敵する力強いメッセージが、このアカペラには刻み込まれています。 Nワードの使用については、アフリカ系アメリカ人の世代間で、その是非が常に議論されてきました。奴隷制度時代の苦々しい思いからその使用を非難する年配層と、彼らの口頭文化の常で、その意味を逆転させて愛情を込めた意味を持って使用し始めた若者世代、いわゆるヒップホップ世代(といっても今や幅広い世代ですが)との間の論争、溝は、埋まることがないように見えます。 そんな中、ケンドリックがエチオピアから取り入れたという新しいNワード、"N-E-G-U-S"という言葉の新しい解釈、価値観を、若者世代に訴えかけます。この価値観が、"Hiii Power"ほどのインパクトを持って彼のファン(ましてや幅広い非黒人のファンたちに)に届くかどうかは分からないし、ケンドリック自体も今後完全にNワードの使用を止めるのかも分からないけれど、世代のアイコンとして、少なからずインパクトを与えるのではないかと思わずに入られません。 そんでもって、"Mortal Man"ですよ、もう。初めてこの曲を聴いた時は、度胆を抜かれたなんてもんじゃなく。 まず、この曲の最初に出てくるブリッジの“When shit hit the fan, is you still a fan?”(何が起こっても、まだファンでいてくれるかい?)という部分。私事ですが、かなり前に、わたしのアメリカに滞在するためのビザが怪しくなった時があって、その時に弁護士に言われたのが、まさにこの言葉。 「君、 “when shit hits the fan”っていう言い回しを聞いたことがあるかい? 回ってる扇風機にウンチを投げたらどうなる? 自分の顔に飛んで返ってくるよね? 今の君はそういう状態(何が起こってもおかしくない状態)だよ?」と言われて、脳裏に焼き付いたこのフレーズ。まさか、ケンドリックで返ってくるとはww そこから、数年前にドイツ?のジャーナリストが2パックに行ったインタビューを、「ぜひ君に使って欲しい」と渡されたケンドリックが、まるでケンドリックが今、この瞬間にパックに聞いているかのようなタイムリーな内容に仕立てて(実際に時代を超えたタイムリーさがあるメッセージであるがゆえに説得力ハンパない)投入してきたんだから、びっくりせずにはいられまいて。 そしてこのアルバムタイトルの起源となった詩で、アルバムを終焉を迎える。 前作からの繋がりや、3つのシチュエーションを見事に織り込んだ"These Walls"も大好きだし、童顔をした老成感を漂わせるような描写の"How Much A Dollar Cost"(レイラ・ハサウェイがまたいい!)、なんでここでピート・ロックの歌なん?(ビート制作ではなく)と突っ込まずにはいられないけど、Rapsodyのライムも秀逸で、何気にディープな歴史のレッスンも反映させた"Complexion"も深い。 まさにこのアルバムのリリックは、ケンドリックのストーリーであると共に、アフリカ系アメリカ人の歴史や文化、アメリカの歴史や社会のリッチなレッスンが詰まっているため、まさに注釈だけで本になってしまいそうなほどの勢いで、魂を込めて、たっぷり注釈を付け加えました。この歴史に残るであろう作品を、日本盤で日本のケンドリック・ファンのみなさんに手に取っていただけたら幸いです。 トゥ・ピンプ・ア・バタフライ Kendrick Lamar タワーレコード amazon Love & Thanx. and Give Thanx to Dashaun!!! ■
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by kokosoul
| 2015-05-31 15:55
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